汽笛〜見果てぬ夢をもつものに〜
1997年に仲の良いドライバーが東名高速で事故に巻き込まれ亡くなった。
龍二は長距離ドライバーの限界と現実を目の当たりにし、ドライバー業を引退、旧知の間柄の富澤寛が責任者として業務を行う、住宅メンテナンス系の会社へ転職した。
サラリーマンとして、営業や現場業務をこなしながら、少しずつ出世はしてきたが、生粋の商売人のため、2001年に運行管理者資格などいくつか国家資格を取得し、新たに独立をすることになった。
32歳で再び独立した龍二は20代で患った病を抱えながらも不眠不休の如く働きずめだった。
30歳のとき購入した自宅マンションを事務所にし、海外からの輸入品販売、損害保険代理店、音楽プロデューサー、送迎・観光バス運転手など多種多様な仕事に打ち込んでいた。
補助に二人がアシスタントのように就業をしていたがメインで業務をこなせるのは龍二一人だった。
午前中は損害保険代理店の業務を行い、午後は輸入品の講習販売やネット販売、夜は音楽業務に携わり、明るくなる頃から僅かな時間に睡眠するというウィークデーを過ごした。
週末はレンタカーバス(いわゆる白バス)で送迎や一泊二日など慰安旅行の観光運転手をしていた。
手帳は三ヶ月先まですべて埋まり、正に働くことだけに没頭していたが苦しさは全くなかった。
なぜなら法人化するべく段取も滞りなく進めており、後は業績を延ばし各セクションに責任者クラスを一人ずつ配置し業務遂行を確実なものにするだけだった。
そんな多忙な日々を過ごすなか、また桜が咲く季節になろうかという三月中旬、体調が優れない日々が一週間も続いたある日、夜中に帰宅した瞬間倒れた。
その日は朝から熱が39度近くあったが予定はこなさなくてはならなかった。
龍二自身もただの風邪だと安易に思い市販薬と座薬で乗り切り夜中まで張り詰めていた。
しかし午前2時に帰宅した龍二は安堵感から玄関で倒れた。
意識が朦朧とするなか必死に携帯の履歴から寛の名を探し電話をかけた。
しかし、寛は当時夜も仕事で動いていたため電話に出れなかった。
龍二は必死で留守電にメッセージを残した。
「寛…ヤバイ………」
それだけ入れると次に救急車を呼ぶためダイヤルボタンを押そうとしたがその前に意識を無くしてしまった。
午前3時半頃、留守番を聞き何度折り返しの電話をしても出ないことに心配した達也が龍二のマンションを訪れ玄関を開けたとき目の前には意識不明の重篤患者である龍二の姿があった。
まだ靴を履いたままでスーツの上着はおろかコートすら脱いでいない状態だった。
龍二は長距離ドライバーの限界と現実を目の当たりにし、ドライバー業を引退、旧知の間柄の富澤寛が責任者として業務を行う、住宅メンテナンス系の会社へ転職した。
サラリーマンとして、営業や現場業務をこなしながら、少しずつ出世はしてきたが、生粋の商売人のため、2001年に運行管理者資格などいくつか国家資格を取得し、新たに独立をすることになった。
32歳で再び独立した龍二は20代で患った病を抱えながらも不眠不休の如く働きずめだった。
30歳のとき購入した自宅マンションを事務所にし、海外からの輸入品販売、損害保険代理店、音楽プロデューサー、送迎・観光バス運転手など多種多様な仕事に打ち込んでいた。
補助に二人がアシスタントのように就業をしていたがメインで業務をこなせるのは龍二一人だった。
午前中は損害保険代理店の業務を行い、午後は輸入品の講習販売やネット販売、夜は音楽業務に携わり、明るくなる頃から僅かな時間に睡眠するというウィークデーを過ごした。
週末はレンタカーバス(いわゆる白バス)で送迎や一泊二日など慰安旅行の観光運転手をしていた。
手帳は三ヶ月先まですべて埋まり、正に働くことだけに没頭していたが苦しさは全くなかった。
なぜなら法人化するべく段取も滞りなく進めており、後は業績を延ばし各セクションに責任者クラスを一人ずつ配置し業務遂行を確実なものにするだけだった。
そんな多忙な日々を過ごすなか、また桜が咲く季節になろうかという三月中旬、体調が優れない日々が一週間も続いたある日、夜中に帰宅した瞬間倒れた。
その日は朝から熱が39度近くあったが予定はこなさなくてはならなかった。
龍二自身もただの風邪だと安易に思い市販薬と座薬で乗り切り夜中まで張り詰めていた。
しかし午前2時に帰宅した龍二は安堵感から玄関で倒れた。
意識が朦朧とするなか必死に携帯の履歴から寛の名を探し電話をかけた。
しかし、寛は当時夜も仕事で動いていたため電話に出れなかった。
龍二は必死で留守電にメッセージを残した。
「寛…ヤバイ………」
それだけ入れると次に救急車を呼ぶためダイヤルボタンを押そうとしたがその前に意識を無くしてしまった。
午前3時半頃、留守番を聞き何度折り返しの電話をしても出ないことに心配した達也が龍二のマンションを訪れ玄関を開けたとき目の前には意識不明の重篤患者である龍二の姿があった。
まだ靴を履いたままでスーツの上着はおろかコートすら脱いでいない状態だった。