汽笛〜見果てぬ夢をもつものに〜
教室に戻った龍二に明夫が近づいてきた。
「龍二、呼び出しなんてどうした?」
そう言う明夫の後ろには龍二達が通った高浜南小学校の隣校である美浜小学校から来たクラスメイトの小田政和と菊池健吾がいた。
政和と健吾は小学校時代からの悪友で明夫とはゲームセンターで遊んでる頃からの顔見知りであり一緒に万引きをしてきたやんちゃ友達だった。
「あっ、こいつら美浜から来たゲーセン仲間なんだ、龍二も何度か顔合わせたよな?」
「ああ、あるよ、よろしく」
「こっちこそよろしく」
「ところで龍二、マジ担任と何話してきたんだ?」
明夫の言葉に龍二は、
「そうそう、担任の山田だけどかなりの食わせ者だぜ」
「食わせ者?」
明夫、政和、健吾は頭があまり良くないため意味が分からなかった。
「ハハハ、何つうか、とんでもねぇ教師ってことだ、頼によって俺にクラス委員長に立候補してくれ、って言ってきたよ」
「で、なるのか」
「ならねぇよ、だがなちょっと虐めてやろうと思ってさ、立候補するって言ってきた」
興味津々の目で三人が龍二を見ながら、
「どうするんだ?」
「まあ聞け、ホームルームで委員長選出の立候補者を山田が募るわけだが、俺は立候補しない」
三人にしっかり把握させるため、ゆっくりと龍二は話した。
「当然山田は焦るよな、そして俺に何かしら投げ掛けてくるはずだ、例え他の生徒が立候補しても俺を推する予定だから何かしらアクションがあるはずだ」
三人は一生懸命理解しようとしていた。
「そこで俺が立ち上がりこう言うんだ、"先生、やっぱり僕にはできません、あんな裏取引みたいな行為はクラス全員を裏切る背信行為だと思います"とな」
三人はとてつもない面白いことが起こるのだろうと予感していた。
「そう俺が言ったら三人で騒いでくれ」
「どんな風に騒げばいいんだ?」
政和が話しを理解したらしく直ぐさま質問してきた。
「"ふざけんな"、"クソババア"、"出ていけ"、"裏切り者"、"ニセ教師"、など何でもいい、最後に俺が教科書投げ付けるからお前達も一斉に投げ付けてくれ」
「うわぁ、マジ入学早々面白れーじゃんか!」
三人は目を見合わし興奮状態だった。
龍二は三人が言う通りになると核心していた。
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