汽笛〜見果てぬ夢をもつものに〜
第二章 葛藤
1985年4月

龍二は営団地下鉄東西線に揺られ浦安駅に着いた。
ここから徒歩で20分、又はバスを使って10分の位置にある浦安中央高校へ入学していた。
入学式当日、春の嵐が吹き荒れた。
まるで台風のような暴風雨が教室の窓を横殴りに叩きつけていた。

龍二は顔の知らない不良風な出で立ちの生徒を見つけ、
「おぉ、お前煙草持ってっか?ついでにちょっくら金貸せや!」
「えっ、何だよ、つうかナメてんのか!」
「いいから出せよ!」
言うや否や相手の髪の毛を左手で掴み、右手で腹にパンチを何発もカマした。
「グ…っ!あっ、あります…」
龍二は同じ学区内の中学から来ていた不良仲間7人と結託し違う学区の中学から来た生徒を目の敵にし、入学式早々ケンカにカツアゲ、教室で煙草を吸い自分達の力を誇示していた。

「龍ちゃん、そろそろ教師が来るぜ」
「了解、つーか中学んとき同様アホ教師をイビるかね」
「おぉ、龍ちゃんの教師イビリはうちの中学まで噂は来てたぜ」
そう言うのは後に長きに渡り行動を共にする高橋達也だった。
「ハハハ〜、俺が嫌われてただけだよ」


「俺が担任の浜島隆雄だ、よろしくな」
ケッ、変な野郎だ!龍二はそう思いながら教壇から目を逸らし窓に打ち付ける気だるい雨を見ていた。

「ところでお前達に一つ言っておくが、学校で煙草を吸ったり、制服のまま外で煙草は吸うなよ、見つけたらボコボコにするからな」
何がボコボコだ!俺がテメーの考えボコボコにしてやるよ!そう龍二は心でほくそ笑んでいた。

「それとシンナーは止めろ!見つけたら退学だからな!とにかく色々あると思うが共に頑張っていこう」
アンパンはアホがやるもんで俺達はやらねーよ、アホッ!
そう心で呟きながら、やっぱりアホな教師だ、と龍二は思っていた。
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