Tell＊You

「まー、そうだなぁ。
陽汰の奴、彼女出来たみたいだしー？」


「はいぃぃ！？
ちょっとそれどういうこと！」


「さぁ？
そこに陽汰いんだし聞いてみればー？
んじゃ、オレは先行くな～」




突然の爆弾発言をしてきたクラスメートの言葉にクワッと陽汰を睨み付ける。


クラスメートは悠々とスキップなんてもんをしながら去っていくがそれは視界から即フェードアウト。




「陽汰！
本当なの！？」


「……いや、」


「幼なじみのあたしにぐらい言ってくれてもいいじゃんー！」


「だから……」


「あー、そうだよねー！
あたし達そんな恋バナするような関係じゃないから知らなくても当然だけど！」





陽汰の口から何を知らされるのかが怖くてあたしは思ってもいない言葉達をぶつけていた。




「だから別に全然気にしてないから？
陽汰に彼女ねー、いいんじゃない？
怒ってないけど、報告だけでも陽汰から聞きたかったなぁー」


「……怒ってんじゃねーか完璧に」


「だから怒ってない！！」


「何がそんなに不満なんだよ？」


「不満も何もないって！」


「じゃあそんなに怒る必要も……」


「もういい！
陽汰とは絶交！
話し掛けないで！
いい！？」





ロクに陽汰の話を聞こうとせず、一方的にもちろん思ってもない言葉を言い放った。


本当はこんなこと言いたくないのに……


でも言ってやらないと気が済まない思いもあって……。



もし彼女が出来たことが本当なら寂しくて、哀しくて……。


そうならそうと言ってほしいと思う反面、そうなってもそれは嫌で……。




「……ったく。
分かった」




……あぁ。

また、だ。


感情任せでいつも後悔。


それなのに私はまだ同じ事を繰り返す。


陽汰を呆れさせたのも数知れず、で……。





「ちょ、璃乃どした！！
今日陽汰くんは！」


「……途中で別れた」


「あー……また璃乃の女王様発揮ってわけー。
しっかし陽汰くんもよく懲りずに付き合えるもんねー」


「陽汰だから別にいいのっ！」




同じクラスで大の仲良しの美香に鋭く陽汰のことを聞かれたものの私の一言で全てを察したらしい。


いつもはクラスの違う陽汰とバイバイするのは教室の前。


それなのに１人でやってきた私を見て美香は声を掛けたんだろう。




「でもさ、陽汰くんも１人の人間のわけだからね？
ちゃーんと大切にしてあげなきゃ」


「そんなの……分かってるけどー……。
でも酷いと思わない？」




それから美香へ今朝のことを話した。




「……んー。
お互い様でしょうね、うん。
陽汰くんもそうだけど、璃乃もね」


「……う、うん……」


「陽汰くんの言い分も聞いてあげなきゃ」




美香にお姉さん口調で窘められ、その通りだから何も言えない。


自分ばかり被害者ぶって。


告白ひとつも堂々と出来ないのに……