Tell*You
「陽汰……これで、またあたしのこと嫌いになっちゃったかな……」
素直になりたい。
そうすれば今頃もう陽汰の彼女になったりしていたのかな……?
なんてことはその時になってみないと分からないけれど……
「とにかくあれだね。
次に陽汰くん見つけた時はちゃんと謝っときなよー?」
「は……はいぃぃ……」
今、こうなってしまった私は私自身と向き合う。
それだけが自分を変えられる唯一の方法だ…────────
*
「……げ、陽汰じゃんんん……」
優に10メートル以上の距離があっても一瞬で見つけてしまう陽汰の姿。
そんな自分が気持ち悪い……
いつもは会えたら嬉しくて、ついまた荒々しい言葉が出てしまうけれども。
今回ばかりは今朝のことを謝る条件付きということを思いだし憂鬱気味。
今朝のことは確かに私が一方的に悪いから謝るべきなんだけど……。
「……っん!?
あれは……?」
屋根のついた中庭を1人歩く陽汰に声を掛けたのは校内でも美人と有名な愛美ちゃん。
クラスは一度も一緒になったことは無いがなんせ可愛いので有名人だ。
人に疎い私でも知っている。
「……ま、ままままさか……陽汰の彼女ってぇぇ……
愛美ちゃんのこと……!?」
うーん……何してんだろあそこ……
もうちょい近付けそう……
雨降ってるから妙に雰囲気あるなぁ……。
ええっと……愛美ちゃんが陽汰に何か言ってるっぽくて……?
それで陽汰は……っ!
……ん?
首を横に振って……ってあーあ……。
愛美ちゃん泣いてるっぽくて走って行っちゃったんですが……?
陽汰のお馬鹿ってば何か余計なこと言った……?
というかあれは告白……?
「……陽汰は女心に鈍い奴だからねぇ……」
だから私の気持ちにこれっぽっちも気付かないのよ、コノヤロー!
と素直になれない自分を棚に上げて陽汰にこっそり悪態を突く。
「……ちょーっとだけ。
それとなーくなら聞いてみても大丈夫だよね……?」
そーっと。
そろりそろりと。
でもなるべく自然な感じで。
陽汰に接近。
「よ、陽汰じゃーん……?
今のが……例の彼女さんなわけー?」
「よー。
今朝に絶交って言った奴の言葉とは思えないけど?」