Tell*You
と、陽汰は面白そうにからかってくるではないか。
質問をはぐらかされた上にそのことに触れられた私といえば……
「そ、そうだったよね……!
別に忘れた訳じゃないし!
陽汰とは絶交したしね!
もう話し掛けないから安心して?
じゃあね!」
またお得意の意地っ張りを発揮……。
……何やってんだ私は……
今時の5歳児の方がもっと大人だよ……
そんな謝りもせず立ち去ろうとした私を。
なぁ、と陽汰は呼び止めた。
そんなたった……短い言葉で私の足は簡単に止まってしまう。
「何!」
「オレ……3日後、引っ越すから」
「……え?」
突然、陽汰からの告白された事実に固まることしかできない私……。
……17年間ずっと隣にいた陽汰が?
引っ越す……?
そんなこといつ決まったの?
どうして私には……そんなギリギリまで言ってくれなかったの?
口に出せない疑問ばかりが言葉を奪う。
絶交だよ、絶交!
そんなこと、一瞬で頭から抜けてどこかへ飛んでいった。
「それだけ言いたかっただけだから」
踵を返した陽汰は……去っていくのに……
仲直りもしないまんま私はそこに突っ立っていた……
*
「よーたっ!
雨また降ったねー!」
「またサッカーできなくなったしー……。
最悪だ」
─────────…私と陽汰の住む街は1年を通して雨がよく降る。
街の地形的な?
場所的な?
そんな感じの問題らしく。
昔に親から一度聞いただけだから忘れてしまったけれど。
小学校の頃から変わらずに左には陽汰がいた。
あの頃は……背丈も一緒でお互い全然大差無かったのに……
今では背丈も行動も……私よりずっと大人びていた。
そんな陽汰が遠く感じて……今の私がすごく惨めに感じた。
だから余計、素直になれなくて。
そんな自分を陽汰の前で認めることがすごく怖かった。
陽汰はそんな私を知ったら……
きっときっと嫌いになる。
だから強がりで隠してしまえば、そんなことばかりを考えて。