Tell*You


と、陽汰は面白そうにからかってくるではないか。


質問をはぐらかされた上にそのことに触れられた私といえば……




「そ、そうだったよね……!
別に忘れた訳じゃないし!
陽汰とは絶交したしね!
もう話し掛けないから安心して?
じゃあね!」




またお得意の意地っ張りを発揮……。


……何やってんだ私は……
今時の5歳児の方がもっと大人だよ……



そんな謝りもせず立ち去ろうとした私を。


なぁ、と陽汰は呼び止めた。


そんなたった……短い言葉で私の足は簡単に止まってしまう。




「何!」


「オレ……3日後、引っ越すから」


「……え?」




突然、陽汰からの告白された事実に固まることしかできない私……。



……17年間ずっと隣にいた陽汰が?


引っ越す……?

そんなこといつ決まったの?


どうして私には……そんなギリギリまで言ってくれなかったの?


口に出せない疑問ばかりが言葉を奪う。


絶交だよ、絶交!


そんなこと、一瞬で頭から抜けてどこかへ飛んでいった。





「それだけ言いたかっただけだから」




踵を返した陽汰は……去っていくのに……


仲直りもしないまんま私はそこに突っ立っていた……











「よーたっ!
雨また降ったねー!」


「またサッカーできなくなったしー……。
最悪だ」




─────────…私と陽汰の住む街は1年を通して雨がよく降る。


街の地形的な?


場所的な?


そんな感じの問題らしく。

昔に親から一度聞いただけだから忘れてしまったけれど。



小学校の頃から変わらずに左には陽汰がいた。


あの頃は……背丈も一緒でお互い全然大差無かったのに……


今では背丈も行動も……私よりずっと大人びていた。


そんな陽汰が遠く感じて……今の私がすごく惨めに感じた。


だから余計、素直になれなくて。


そんな自分を陽汰の前で認めることがすごく怖かった。


陽汰はそんな私を知ったら……
きっときっと嫌いになる。


だから強がりで隠してしまえば、そんなことばかりを考えて。
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