イジワル男子の甘い声
*
「あれ、双葉どうしたその顔」
教室帰ると、ふくれっ面の私を見たミカが心配そうにそう聞いた。
「あー!柏場くんだよ!ほんっとムカつく!」
「何、あいつまたなんかしたわけ?」
「告白されてるのたまたま見ちゃって」
「うわーまじか。柏場の性格知らない人とかまだいるの?後輩?」
「うん。それで…振り方があんまりにも酷かったからつい注意しちゃって…」
「あぁ、それはあかんやつだな。口で柏場に勝てるやつとかいないし」
ミカは「あんま気にすんな。みんなにああだし、あいつ」と言って私の背中を優しく撫でてくれた。
「でもさぁー、なんであんなに性格悪いんだろね?普通怖いじゃん。人に嫌われるのって」
「わざと煽ってるようにも見えるよね〜」
「そういう性格なんでしょ?いいよ。柏場の話なんて!それより、昨日のsakuのさ!」
ミカがそう言って、話題をsakuに持っていく。
そうだ。
嫌なことを考えるよりも。
好きなことを考えよう。