イジワル男子の甘い声
とうとう、エントランスの床にスクールバックを置いてから、中の私物を取り出す。
いやいやいや…確かにいつもここのポケットに入れてるはず。
教科書を全部パラパラめくって、ポーチの中も財布の中も全部くまなく探す。
誰か、嘘だと言ってくれ。
「鍵が……ないっ」
え、こういう時どうするの?
オートロック付きのマンションなんて住むのがもちろん初。
しかも引っ越したばっかでみんな顔とか知らないしっ!!
パパに連絡…
『今日は帰らないから』
そういえば朝、そんなことを言っていた。
うそぉぉぉぉん。
どうしようどうしよう。
っていうか、本当にない?
ちょっとまって、少し冷静になって、朝の自分を思い出そう。
私はゆっくり目をつぶって、朝の自分の行動を思い返す。