イジワル男子の甘い声
それにしても…。
さりげなく斜め後ろにチラッと目を向けて柏場の席を確認する。
今日も学校にきていない。
私が休んだ昨日は、どうだったんだろうか。
来たのかな…。
それとノアの言葉。
何で、柏場はもう歌わないなんて言ったんだろう。
私が関係あるとは思えないんだけど。
「ごめん、ちょっとトイレ」
今はまだ、みんなとワイワイする元気なんかなくて、静かに教室を出る。
失恋は、時間が解決してくれるとか、新しい出会いが、なんて聞いたことあるけど。
この複雑な感情は一体どうしたらいいんだろうか。
sakuの正体は柏場でした、って聞いて、はいそうですか、ってそう簡単に受け入れられるわけ…。
「なー聞いた?柏場のやつ」
っ?!
トイレに向かおうと歩いていた廊下で、
男子の話し声が聞こえて、目立たないように少し彼らを通り過ぎてから思わず足を止めた。