イジワル男子の甘い声


っていうか。


考えたくないくらい、柏場がsakuであることがショックなくせに、なんで柏場のことで悩んでるんだろうか。


柏場が誰かとどーしようと知ったこっちゃないのに。


「あ、今井」


ぼーっと窓の外を見ていると、教室に入ろうとした担任の先生に声をかけられた。


「はい…」


「お前、体調どーなんだ。もう平気か?勉強頑張ったのはいいけど身体壊さないようにな。親御さんに電話したらちょっと動揺してから」


ああそうか。
先生、あなたがパパに連絡しなきゃあんな風に怒鳴れることはなかったんですよ。


「あ、はい。大丈夫です。…あの、私はって?」


「あぁ、柏場だよ。あいつも一昨日から休んでるから心配で。お前ら家隣だろ?なんか聞いてないかと」


生徒の個人情報を持ってる先生は唯一、私と柏場が同じマンションに住んでるのを知ってるのか。


ちょっと面倒くさいな。


「特に何も…」


「そっか。わかった。あいつ友達作り下手だから、仲良くしてやってな。HR始めるぞ」


そう言われて、私は特に返事もしないまま先生と教室に入った。


< 192 / 374 >

この作品をシェア

pagetop