イジワル男子の甘い声
「ほんっとバカなのなぁ」
っ?!
なんで──────。
なんでここにいるの─────。
ぐちゃぐちゃになった顔のまま、落としていた顔を上げると、そこには見慣れた鋭い目がこちらをしっかり捉えていた。
相変わらず綺麗な顔なのがやっぱりムカついて。
同時に、この人にばかり弱いところを見せてばかりな気がした。
「柏場くん…なんで」
目の前のだるそうな彼は、大きなボストンバッグを肩にかけている。
どっか、行っていたのかな。
「お前こそ、なんで道端で泣いてんの。小学生でもそんなアホみたいに泣かねぇよ」
うっ。
そして安定の毒舌なこと。
ポタ、、
ポタ、、
思わず下を向いていたら、雫が1つ、また一つとアスファルトの色を濃くした。
だけど、これは私の涙じゃない。