イジワル男子の甘い声
─────バタン
視界が暗くなり、身体があったかい何かに覆われる。
「ちょっと柏場く──────」
「黙れ」
そういって、ゴツゴツしてて細い手に口を塞がれた。
「うっ、」
なんだよこれ。
なんで柏場んちの玄関でこんなことされなきゃなんないの。
いつもより柏場が大きくて、
いつもより柏場が近くて、
不覚にもドキッとしてしまった。
「ん、いった」
目を上に向けると、綺麗な顎ラインが見えて、覗き穴に目を近づけた柏場の口が動いた。
なんだなんだ?!
もしかして、柏場、私をパパから隠そうとしてくれたの?!
どうして柏場がそんなことする必要があるって言うんだ。
「…なんで、こんなことしてくれたの」
「気持ち悪いから」
「はい?」
─────ガチャ
柏場は、私の背中をドアに預けさせたまま鍵を閉めた。
「俺か親父さんと、どっちがお前にそんな気持ち悪い顔させてるんだ」