イジワル男子の甘い声
月明かりと寝息
家出をしようとして柏場に捕まったあの日から一週間。
同じグループの子たちは相変わらず、sakuの生配信の話題で盛り上がっていて、
sakuの正体である柏場優作はいつも通りブスッとしていて周囲にビクビクさせている。
変わったことといえば、私が落ち着くまで黙って側にいてくれた柏場に対して好感度がかなり上がったということ。
なかなか泣き止むことができなくて、流石に、怒られるかと思ったけどそんなことなくて。
やっぱり、ちょっといいやつなのかもしれないなんて。あんな歌声を出すなんてまだ信じられないんだけど。
「で、双葉は?」
「へっ」
突然ミカに話を振られる。
「も〜sakuの曲で一番好きなやつ!双葉はどの曲が好きなの?」
「あ〜…えっと、私は…」
斜め後ろにご本人がいる、それをわかってるとなんだか恥ずかしくて口ごもる。