イジワル男子の甘い声
この気持ちは
*
*
「どこが万全の体調じゃねーんだよ」
「え、双葉なにか言った?」
「あ、ううん!なんでも」
4時間目の体育の授業。
体育館の窓から見える男子のサッカーを見ながら呟いていたら、危うくミカに聞かれるところだった。
運動場で自由自在にボールを操る男。
柏場優作。
今朝、体調悪いから見学するとか言ってたやつだ。
どこがやねん。
ピンピンしてるやん。
いや、これも私の朝ごはんパワーのおか──
バンッ
っ?!
うっ。
おでこに痛みが走ると同時に、飛んで行くバレーボールが見えた。
「なーにぼーっとしてんだ今井ぃぃ!!」
怖いと有名な体育の先生に名前を呼ばれて、自分の状況全てを把握する。
柏場のせいでぼーっとしてしまい、ボールが飛んできたのに気付かずに、おでこでボールを飛ばしてしまったんだ。