イジワル男子の甘い声
信じて
*
*
「全然違うなぁ…」
同じ人間なのに。
同じ制服なのに。
部屋に帰ってきて、部屋の姿見に映った自分の姿を結構な時間見つめる。
夕飯時の時間。
今日もパパはいない。
きっともう、例の人の家にでも住んでるんじゃないかな。
洗濯物なんかを見る限り、私が学校の間に帰ってきてるような痕跡はあるけど。
いや、今はそんなこと置いておこう。
問題なのは、この、目の前に映っている自分だ。
いつものまっすぐストレートの髪の毛は、ハーフアップにされていて全て緩く巻かれている。
自分でも一瞬、誰かわからなかった。
メイクもナチュラルだけど、それでも、化粧っ気が全然ない私からしたら、全然違う!
いや、本当に誰!