イジワル男子の甘い声
『お気に入りのスタイリストがいるんだ』
ノアがそう言って連れてきたのは、すごくお洒落なスタジオで。
もう見るもの全てが、映画から出てきたんじゃないかって機材と衣装、メイク道具ですごく華やかだった。
一瞬の出来事でよく覚えていないけど、気付いたら私は、いつもと違う顔と髪でいる自分を鏡越しで見ていて「どう?」って綺麗な女性スタイリストさんに声をかけられたっけ。
『可愛いよ〜双葉ちゃん!バッチリ!これで優作もすぐに落ちる!今日、早速優作の部屋行ってみなよ。どんな反応だったかすぐ連絡ちょうだいね』
いやいやいやい。
まるで私が柏場に片思いしてるみたいじゃんか。
ミカもノアも、2人して変なこと言うから…。
だけど…この鼓動。
信じたくないけど。
まだわからないけれど。
柏場の心をちゃんと知りたいって、
思っちゃったんだ。