イジワル男子の甘い声
話をしよう
*
「海だーーー!」
「ここにあるの知らなかったのか?」
「ううん!知ってた!」
「は?じゃあなにその初見みたいな反応」
太陽の光を照り返すキラキラした波を眺めていると、横から呆れた声がそういった。
「話ばっかり聞くだけで…モールに来たことは何回かあるけど、ここに来たのは初めて。今日はいっぱい初めてばっかりだよ。ありがとう優!」
バカみたいにくしゃっとした笑顔を照れ隠しで向けながら名前を呼んだ。
「ぶっさ」
「ちょ、彼女にそれはないでしょ!」
「本当だから仕方ねぇ」
優はそういいながらコンクリートの方に腰掛けると、バックから弁当箱を取り出す。
学校に持っていってるものより大きめの正方形の弁当箱。それに別でおにぎりを4つ付けた。
昔はよく、パパがこれにおかずを詰めてくれて一緒に近所の公園へ遊びにいったっけ。