イジワル男子の甘い声
*
「よし、できた」
─────ガチャ
ダイニングテーブルにおかずを詰めた弁当箱を置いた時、タイミングよくパパの部屋のドアが開いた。
「あっ、お、おはようっ…!」
久しぶりに顔をちゃんと見て、なんだか途端に緊張した。
2人で毎日一緒にご飯を小さいアパートで食べていた朝がすごく昔のことみたい。
「っ、あぁ。悪いけど、お昼は会社の人と外で食べるから────」
「えっ」
テーブルに置かれた弁当箱を見て悟ったのか、パパは目をそらして洗面所の方へと向かっていった。
やっぱり、パパとの関係を修復するなんて無理なのかもしれない。
些細なすれ違いが、気付けば大きな溝になっていて…。どうやってパパと接していたのか自分でもわからない。
でも───────。