イジワル男子の甘い声


「私も…ごめんなさいっ、私のために頑張ってくれているのにわがまま言ってごめんなさい」


「バカ、双葉は昔から欲しいものねだったことも一度もないんだから。初めて言ってくれて嬉しいよ」


パパは私の頭を優しく撫でると、目を細めて笑った。


っ、パパだ。


私の大好きな、パパの笑顔だ。


学校が終わった後、夕食を作り終わって、仕事から帰ってきた時の、パパのこの笑顔を見るのが、大好きだったんだ。


「よしっ、今日は会社休みます!」


「えっ、」


「双葉は?テーブルにある、お弁当、あれ一緒に食べてもいいの?」



パパの目線を追って、私もお弁当に目を向ける。


2つ並んだ弁当。


パパを引き止めたのは、ちゃんと話しがしたかったのともう一つ…。


「私も休む!あの、お弁当!一緒に食べてくれる?」


「決まり」


パパはそういうと「会社に電話入れてからね」と携帯を耳に当ててからもう一度、私の頭を優しく撫でた。


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