イジワル男子の甘い声


双葉は、「おじゃまします」と声をかけてうちのキッチンに入ると、慣れた手つきで食器を用意していく。


多分、キッチンのことは俺より詳しいだろう。

もう随分と懐かしく感じるテスト勉強の時も、ずっとここで料理をしてくれていたんだから。


「出来立て食べさせたくってすぐ来たからまだあったかいよ」


なんていいながら、一緒に持ってきたらしい紅茶までちゃっかり準備して。


学校から帰ってきて、こんな凝ったケーキ作るなんて。よくそんな時間がある。


最近、俺も仕事が少し忙しくなって外食が増えたり、双葉も親父さんや里菜さんって人との食事を定期的に楽しんでいるみたいだし。


その埋め合わせって言ったらおかしいし、ただ俺が過ごしたいだけなんだけど、来週の休みは一日中一緒にいよう。


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