イジワル男子の甘い声
*
「ど、どう?」
2人ソファに並んで、彼女の作ったアップルパイを一口食べると、味覚が脳に伝わる前に、双葉が顔を覗き込んできた。
サクッとパイ生地のいい音がなって、ジュワと溶けかけてる果肉が飛び出して、それがパイ生地と絡まって、
余分な甘さも控えめで、林檎本来の味が生かされている。ドンピシャで俺好みだ。
「うん。うまい」
「よかった〜」
双葉はホッと胸をなでおろすと、自分も、パクッとアップルパイを口に放り込んで「ん〜上出来!」と声を出す。
「あのさ…双…」
「あ、そういえばうちの学校の購買にもアップルパイ売ってるよね!小さいやつ!優は食べたことある?」
「え、いや…」
今の絶対、俺の声をわざと遮られた感じがする。
「食べてみたいな〜ミカもあれはすぐに売り切れちゃうって言ってたっけ」
「双葉」
「やっぱり人気なんだね〜あ、人気といえば────」
「黙って」
「っ、」