イジワル男子の甘い声
彼女の両頬を捕まえて。
ジッと瞳と瞳を合わせる。
「ゆ、、優?」
こんな時でも、触れると、もっと触りたいって思ってしまうんだから重症だ。名前を呼ばれるたびにおかしくなりそうになる。
「わざとだよな。今だけじゃない。ずっと変」
「……っ、」
彼女の目線が流石に下を向く。
無駄にまつげが長くて、それがまた色っぽく見えたりなんかしちゃうから。
「なんかあるなら言えよ」
もう疑ったり、大切な人と関わるのを逃げたりしたくない。
俺だってちゃんと見るから。
「っ、うっ、」
双葉の顔が突然歪むと、目から大きな涙の粒がポロポロと落ちてきた。
彼女から優しく、ケーキの皿を取ってローテーブルに置く。
「何だよ。何があった」
泣いてるこいつの顔なんて出来ればみたくない。でも、今の彼女の涙は、今までとは違う。