イジワル男子の甘い声
「お願いだよ、柏場くん。お腹すいてんの。もう無理。お腹空きすぎて泣きそうなの、乳児以来だよ」
「っ…」
「いいって言うまで、この手を離さないし泣くよ」
「てっめえ…」
いい気味だ。
日頃の行いが悪いから、こんな女に捕まってしまうんだ。
これはチャンスだぞ。
地獄に落ちないためにも、ここで1つ人を助けてみるのだよ。柏場くん。
「一日だけだぞ。本当にこれが最後だから」
「うん!心得た!よし!そーとなれば柏場くん!食べたいものを言いたまえ!なんでも作るぞ!」
柏場の袖を引っ張って、店内へと入っていく。
「なんでもって…材料は俺の金だろ」
「細かいことは気にしない!はい、カゴ持って〜」
「はぁ…」
ため息をつくけど、柏場はそれでも嫌々持ってくれた。
案外嫌な奴じゃないかもしれない、と思った時、決まって酷いこと言われるから、絶対にそんなこと思ってやんない。