イジワル男子の甘い声


3時間、なんて。
学校も変わるに決まっているし。


「何で…」


「パパが…もう一度、新しいところでやり直そうって。ちょうど、その友達から人手不足で困ってるって連絡が来たらしくて」


「里菜さんは?」


「ううん。一緒には来ないよ。ほんと、パパと私2人だけ。家は古いけどその友達さんが仕事を手伝ってくれる代わりにタダで貸してくれるみたいで。写真で見ただけなんだけど、古風な感じで、自然の中でゆっくりできそうな感じっ」


「…そう」


そんな具体的な話をされると益々、現実味がして苦しい。


「相談なしに決めちゃって…ごめんなさい。…優を1人にしないって、私はいなくならないって、そういったのは私の方なのに…また優を…っ、」


泣きながら話す彼女の肩を引き寄せて、優しく抱きしめる。


『また優を傷つける、裏切ってしまう』


そんなことを言い出そうとしたんだろう。
言わせてたまるか。


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