イジワル男子の甘い声
も、もしかして…ミカ、優の正体を知って?
体を離した瞬間、軽くウインクしたミカ。
嘘…。いつから知っていたんだろう。
あとで電話で質問責めにしてあげよう。
「まぁ…3時間なんてすぐだし、大学はこっち受けるし、その時はまたよろしくお願いします!」
もうきっと真っ赤なままであろう目を何度も擦って、笑顔を作ってそういう。
「バカっ、メッセージは大学生になるまでもずっと送るし!」
「夏休みもみんなで遊びに行くしね!」
「え、本当?!へへっ、まってる!」
「あっ、バスきた!」
ミカの声で目を向けると、私が乗る予定のバスがシューと止まった。
これで、本当にみんなとバイバイだ。
「またね」
また溢れそうになる涙を必死にこらえて。
またみんなに会える時を楽しみにして。
「双葉!大好きだぜー!!」
バスに乗り込むと、窓越しにみんなが手を振っていて。
「私もっ!」
窓に手を添えて、涙でぐちゃぐちゃの顔を向けたまま声をあげた。