イジワル男子の甘い声


っていうか、柏場はこのお家で本当に1人で暮らしているの?


パパと2人で住んでいても、広くて寂しいって思っているのに…1人なんて。考えられない。



「柏場くんってさ、いつから1人で─────って、あれっ?」


話しかけようと顔を上げて、再度ソファの方に目をやると、そこにいるはずの彼の姿がなかった。



どこ行ったんだろう。


トイレ?それともお風呂?


目だけキョロキョロ動かして部屋を見渡す。



いない…。


「何」


っ?!


「…ひっ!!」


突然、低い声が後ろから聞こえて、息が微かに耳に触れた。



振り返ると、そこにはミネラルウォーターの入った500mlのペットボトルを持った柏場。



「びっくりした…突然現れるもんだから…」


「突然じゃねぇ。お前がアホみたいにぼけっっとしてるからだろ」


「うっ、」


出たよ。またそうやって悪口混ぜて…。


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