イジワル男子の甘い声
宝物
*
「双葉おはよー」
「おはよー」
同じグループのミカが私の席に来る、いつもと変わらないHR前の時間。
ただひとつだけ違うのは…。
少し振り返ってから、一番後ろの席で寝ている彼を見つめる。
教室で改めて柏場優作を見て、昨日の夜、彼の家に泊まってしまったことを再確認する。
「え、何、双葉。柏場のことガン見しちゃって」
「えっ?!」
ミカの声に思わず大きな声を出してしまう。
「見てない!全然見てない」
「嘘。全然見てたよ」
うおっう。
マジですか…。
「いやーなんか、あんなに寝てるのに学年一位とかほんと腹立つなーと」
本人に聞こえないように小さくそう言う。
「あぁ、だよね。あれで性格良かったら教えてもらったりできるけど。性悪代表みたいなやつだからね」