イジワル男子の甘い声
宝物





「双葉おはよー」


「おはよー」


同じグループのミカが私の席に来る、いつもと変わらないHR前の時間。


ただひとつだけ違うのは…。


少し振り返ってから、一番後ろの席で寝ている彼を見つめる。



教室で改めて柏場優作を見て、昨日の夜、彼の家に泊まってしまったことを再確認する。


「え、何、双葉。柏場のことガン見しちゃって」


「えっ?!」


ミカの声に思わず大きな声を出してしまう。


「見てない!全然見てない」


「嘘。全然見てたよ」


うおっう。
マジですか…。


「いやーなんか、あんなに寝てるのに学年一位とかほんと腹立つなーと」



本人に聞こえないように小さくそう言う。



「あぁ、だよね。あれで性格良かったら教えてもらったりできるけど。性悪代表みたいなやつだからね」


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