イジワル男子の甘い声
心変わり
ラフなTシャツとスウェットパンツ姿に似合わない、なんとも整った横顔。
あれ…。
コーナー前には『乾物・ラーメン』の表記。
柏場も買い物来てたんだ。
そりゃ、近所っていうかがっつりお隣さんだし、こうやって偶然スーパーで会うことも不思議ではないか。
それにしても…。
柏場のすぐ横に置いてある買い物カゴに目を向けると、そこにはカゴいっぱいにカップ麺が入っていた。
もしかして柏場…あれ全部買う気?
本当に自炊しないんだ…っていうか、自炊しなくたってもう少し栄養考えたらいいのに。
あれじゃ早死にするよ。
「か、柏場くん」
お菓子コーナーから離れて、柏場のいる方へと歩いて、小さく名前を呼んだ。
「……っ」
すぐに声に気付いた柏場はこちらを向いて、あからさまに顔をしかめる。