花と君といつまでも(完結)
「紫苑のドレス姿、見てみたいな」
私が人生で着ることは無いドレス
憧れはあったし 着てみたいとも思った
「いいんですか?」
「あぁ」
そして私の選んだ王道な形のドレス
好きになってしまった貴方に見てもらいたい。
私の生きた証を
鏡に映る自分を見て涙が出た
結婚して子供が出来てなんて幸せが私には来ないんだ
このドレスを着るのも今日で人生最初で最後
これからも、どんどん最後になっていくのかな
「紫苑、見せてくれないか」
試着室を開けて水原さんの方を向いた。
「紫苑、綺麗だ」
「ありがとう」
「...どうしても、俺と付き合うの嫌か?」
「はい」
「俺がどんなにお前を愛していても、この愛は自分で解決するしかないのか?
目の前にこんな素敵な女性がいて、愛しくてしかないのに」
水原さん...
今日で最後と思ってたのにそんなこと言わないでよ
「紫苑...泣いてるのか?」
「水原さん、貴方と恋人になることはできません。」
「どうしても?」
そう、どうしても
「貴方を好きになることはありません」
「...ならどうしてそんなに泣いているんだ」
涙で水原さんの顔は見えない
目に焼き付けておきたかったんだけどな
「着替えてきますね」