記憶の中の想い
幸い頭の傷は軽症だった
少しずつリハビリが開始され、リハビリと並行にセラピーも開始された

「ハル。大丈夫か?」
「村瀬くん。こんにちは」

彼は毎日俺の病室に来てくれる

「今日学校はどうだった?」
「みんなハルに会いたがってたよ」
「本当に?俺も学校行ってみたいな」

彼の声を聞くと…なんだかホッとする
ふと見せる寂しそうな横顔も、屈託のない笑顔も、なんか落ち着く

「俺は学校ではどんなだった?」
「ハルは頭が良くて。いつもムードメーカーで。でも体育はダメダムだったなぁ」
「なにそれ。俺って運動音痴だったの?」
「はははっ。かっこわる」

彼の前だと、少しずつだけど笑える様になった

なんで覚えてないんだろう…
なんで…

「体育なんて。出来なくても生きていけるさ」
「それ。フォローになってないよ」

あぁ。楽しい…な
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