彼女との愛の育て方

始業式から一週間後の昼休み

いつものように本を読んでいた私は、私の机に顎を乗せている彼女の視線に気がつかなかった

「ねぇねぇ〜」

彼女が急に声をあげたので驚いた私は本を落としてしまった

「はい、これ〜」

「あ…ありがとう…」

誰かと思えばあの喋り方が特徴的な彼女じゃないか

私は始業式の日から誰とも口を聞いていないのでうろ覚えだけれど…たしか橘さんとか言っただろうか

「何？橘さん」


「渡邊さんって本好きなんだね〜
さっきも読んでたし〜」


彼女はニヤニヤとしながら言った


「うん。橘さんも読書好きなんだっけ」


「うぉ〜！覚えててくれたんだぁ〜
そうだよ〜私も読書大好き〜」


「渡邊さんは好きなジャンルとかある〜？」


「私はファンタジーが好き」


「あ〜！一緒だぁ〜！」


「じゃあ〜好きな作家さんとか……」


そんな話をしていたら、昼休み終了のチャイムがなってしまった


なんだか、人と話していてこんなに楽しかったのは久しぶりかもしれない


その日は橘さんのことを思い出してニヤニヤしながら帰った。