彼女との愛の育て方
それから彼女とは、他愛もない話をした

クラスメイトの話、成績について、最近あった彼女の面白い話

話題がなくなり、お互い目の前のテーブルに置いてあるジュースを飲んだりして沈黙を紛らわせていた時、ふと彼女が口を開いた

「ねぇ、この部屋おかしいと思わなかったぁっ?」

いつもの語尾を伸ばすような喋り方ではなかった

何かが詰まったような話し方

「思わなかったって言ったら嘘になるけど」

そう答えると彼女は「そっか…」と応えただけで、また沈黙になってしまった

なんとなくわかっていた

彼女に何があったのか

それはきっと、彼女にとって話しづらくて聞かれたくない事だと思う

私もそうだったからわかる

「気づいた…よねぇ…」

彼女は俯きながらそう言った

「うん…」

「桜ちゃんには話しておかなくちゃってっ、思ってたんだけどぉっ」

「うん…」

私には“うん”という言葉しか出てこなかった

何か言わなきゃと息を整えると、彼女が先に口を開いた

「私、小学校の時いじめられてたのぉっ」

彼女が急に出した大きな声に驚いた

「えっとっ、この喋り方も虐められてた時に癖がついちゃってっ…」

「直そうとし…してるんだけどぉっ」

彼女は一息にそう言った






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