【短】Virtual Reality


確かに、喫煙室で同期と男の好みの話になって。
非現実的ならば自分の愛着のとことんある、スマホのような…ある意味…文句も言わずに私に尽くしてくれる人がいいと。


そんな事を言った覚えはある。


「けど、はい、おれスマホって言われても、ねぇ?」

「なんで?おれ、藍那のこと、滅茶苦茶好きだよ?寂しい時とか俺の事スワイプして、相手してくれるし。俺の前ではニコニコ笑ってくれるし…」

「それ、誉めてんの?」

「めっちゃ褒めてる!」


そこで、ふーっと息を吐いた。

このままでは、話が平行線で埒が明かない。


「分かった。仮にあんたが私のスマホだとしよう。で、なんで突然の登場なわけ?このスマホにしてからもうかれこれ3年は経つわよ?」

「んー。なんでだろ?…多分、藍那が呼んだんだよ」

「は?私が?なんで?」


私の返して欲しい答えを言わない那岐に対して、じとっと睨み付けると、那岐は慌てた様に首をふるふると振った。

< 13 / 23 >

この作品をシェア

pagetop