【短】Virtual Reality
確かに、喫煙室で同期と男の好みの話になって。
非現実的ならば自分の愛着のとことんある、スマホのような…ある意味…文句も言わずに私に尽くしてくれる人がいいと。
そんな事を言った覚えはある。
「けど、はい、おれスマホって言われても、ねぇ?」
「なんで?おれ、藍那のこと、滅茶苦茶好きだよ?寂しい時とか俺の事スワイプして、相手してくれるし。俺の前ではニコニコ笑ってくれるし…」
「それ、誉めてんの?」
「めっちゃ褒めてる!」
そこで、ふーっと息を吐いた。
このままでは、話が平行線で埒が明かない。
「分かった。仮にあんたが私のスマホだとしよう。で、なんで突然の登場なわけ?このスマホにしてからもうかれこれ3年は経つわよ?」
「んー。なんでだろ?…多分、藍那が呼んだんだよ」
「は?私が?なんで?」
私の返して欲しい答えを言わない那岐に対して、じとっと睨み付けると、那岐は慌てた様に首をふるふると振った。