【短】Virtual Reality
「俺、那岐、藍那のスマホ…ていうか、スマホだった?」
「…寝言は寝てから言って。今から警察呼ぶのめんどいから、サッサと出て行ってよ。見ての通り、私は疲れてんの」
するり、と首にしていたスカーフを解いて、カバンをソファーに投げる。
滅多に履かない高めのヒールのせいで、足が浮腫んでパンパンだ。
冷たい浮腫取りのシートを貼るか、いやこのままバスルームに直行しよう。
それからの方が、絶対に効き目がありそうだ。
そう思って、着替えようとスーツのブレザーを脱ごうとして…まだ私の前にちょこんと座り込んでる…那岐という不審者に、私は溜息を付いて話し掛けた。