【短】Virtual Reality


「藍那、藍那、おっかえりー!おれ、良い子で待ってた!」

「…はいはい、そうね」


そう言って、ソファーに座り疲れ切った足にシートを貼ろうとしたら、床にぺたんと座っていた那岐が徐に此方にやって来た。


「おれ、おれ!おれが貼ってあげるよ」

「は?結構ですー。てか、触んないでよ。この不審者め」

「不審者じゃないよーぅ。だっておれ、藍那のスマホだもん」

「あんた、さっきからそればっか。私だからある程度は許してあげられるけど、他だったら今頃捕まってるわよ?」


そんな事を言っていたら、サッとシートを奪われる。

奪い返そうとしたら、ペリペリとセロファンを剥がされ、あれよあれよと言う間に、両足へとシートが貼られていった。



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