【番外編】狼社長の溺愛から逃げられません!
「あいつ、一応見とけ」
それだけ言うと、内田は何も聞き返さずに頷いた。
「わかりました」
察しのいい内田は、誰を?とか、何を?とか、いちいち聞き返してこないのが、煩わしくなくていい。
そう思っていると、内田は意味ありげにこちらを見て笑っていた。
「なんだよ」
眉を上げ内田のことを見下ろすと、彼女は笑いをこらえながら首を横に振る。
「冷血社長は意外と優しいなぁと思って」
「どういう意味だ?」
「美月ちゃんは鈍感だから、遠回しなアプローチじゃ気づかないと思いますよ」
言われた言葉に、一瞬黙り込む。
なにを勘違いしてるんだこいつは。
「あんなガキに興味ねぇよ。ただ仕事中に口説かれてるのが目障りなだけだ」
あきれながらそう言うと、内田は首をかしげて少し離れた場所にいる有川のことを眺める。
「そうですか? 社長と美月ちゃんはけっこうお似合いだと思ったのに」