夢乃くんにご注意ください
彩芽ちゃんは私を見てすぐイヤそうな顔をした。そしてなに食わぬ顔で店の外へと出て行こうとする。
「ま、待って……っ」
引き止めようとした時、カバンが商品の棚にぶつかってカラーペンが雪崩のように床に散らばってしまった。
泣きそうになりながら拾っていると、私の視界に見覚えがあるロファーが。
「なにやってんのよ、どんくさいわね」
そう言った彩芽ちゃんは素早くペンを元の位置に戻してくれた。
「あ、ありがとうございます」
彩芽ちゃんは「はあ……」とため息をついて再び店を出ようとしたけど、その場から離れようとしない私にまたイライラしていた。
「そんなとこに突っ立ってたら邪魔でしょ!」
「ごめんなさいっ」
「私アンタみたいなタイプって本当に嫌い!」
「……すいません……」
「……っ」