夢乃くんにご注意ください
そして私たちはなぜか今オシャレなカフェにいる。目の前にいる彩芽ちゃんはまたミルクティーを飲んでいて、メニューの誘惑に負けた私は甘いフラペチーノを頼んでしまった。
「引き止めたんだからアンタがおごってよね」
不機嫌そうな彩芽ちゃんでもテーブルの横を通るお客さんは彩芽ちゃんを二度見。
男女関係なく「可愛いー」と噂話をしていて、彩芽ちゃんは慣れているせいかちっとも動じない。
「あ、彩芽ちゃんは……」
「私、名前で呼んでいいなんて言った?」
「じゃあ、八塚さん?」
「それもイヤ」
彩芽ちゃんがワガママなお姫様に見えてきた……。
夢乃くんが王子様で音弥くんが他者を寄せ付けないナイト。……本当、神様は色々不公平だな。
私にもなにかスキルを与えてくれてもいいのに。
「彩芽ちゃんはなんだか夢乃くんの前にいる時と違いますよね」
「は?」
「いや、決して嫌味で言ったわけじゃないんですけど……」
すると彩芽ちゃんはミルクティーを一気飲みして長い足を組み替えた。
「当たり前でしょ。好きな人の前では可愛く思われたいもん」
ズキンと、ハンマーで頭を叩かれた気分。