夢乃くんにご注意ください
「どうして夢乃くんがこれを……?」
「あの時バタバタしてて景品どころじゃなかったけど、あの日音弥との勝負で俺がホームランの的に当てたんだよ。だから今日交換してきた」
夢乃くんは「はい」とシャーペンを私に渡す。
つぶらな瞳のハムスターと目が合って可愛いし、欲しかったし、これで勉強したらもっと頑張れそうとか思ってたけどその前に……。
「ありがとうございますっ……嬉しい……です」
また私は泣いてしまった。
あの日からずっと疎外感のようなものを感じていて、3人でいる時の夢乃くんには入り込むことができない。
だから私のことなんて頭にないんじゃないかって。
かまってる暇もないんじゃないかって、勝手に寂しさを募らせていた。
「もう、泣かないでよ」
夢乃くんの優しい指先が私の涙をぬぐう。