夢乃くんにご注意ください
「そんな時に彩芽と遊びにいく約束をしてたんだけど、俺はすっかり忘れてて友達と遊んでた。それでも彩芽はずっと俺のことを待ってて、それで……」
「夢乃……くん?」
「大学生の男たちに絡まれてカラオケボックスに連れ込まれた」
ドクン、と心臓が跳ねる。
「そこでイタズラされた彩芽は知らない男がダメになった」
夢乃くんが彩芽ちゃんを傷つけてしまった理由。
好きじゃないのに受け入れたこと。
遊ぶ約束を忘れていたこと。
ちゃんと自分が彩芽ちゃんと向き合っていれば、ちゃんと好きでいたらそんなことにはならなかったって夢乃くんはずっと後悔してるんだ。
「彩芽はそれから恋愛できないんだ」
その言葉に引っかかった。
彩芽ちゃんは恋愛できないんじゃない。
彩芽ちゃんは今も夢乃くんのことが好き。別れてからもずっとずっと夢乃くんを想い続けていた。
勝てないと思った。
彩芽ちゃんのその一途さに。
私なんて夢乃くんへの気持ちを曖昧にして、言葉にしていいのか躊躇っている。