夢乃くんにご注意ください


私と夢乃くんは釣り合わない。

私なんかが夢乃くんの隣に並んじゃいけない。
そんなことは分かってる。

それでも命の次に大切だったゲームよりも、夢乃くんのことが欲しくてたまらないのだ。

でもその前に……。


「わ、私は乙ゲーいや、恋愛シュミレーションゲームというものを生き甲斐にして生きてました!」

「……は?」

彩芽ちゃんがぽかんとした顔をしている。

それでも私の言葉は止まらない。


「ゲームの中の相手と恋愛して、胸きゅんするセリフとかそういうのを聞いてニヤニヤしながら過ごすのが毎日の楽しみです」

引かれてもいい。

私は包み隠さずに全部話したい。


「だから友達もいないし、コミュニケーション能力は低いし、本当に勉強と乙ゲーを交互にやりながら生きていければいいと思ってました」

不満なんてなかった。ちゃんと満たされていた。


「でも夢乃くんに会って私は変わりました。ゲームの中以外の場所で楽しいことやドキドキすることや、自分の理想どおりじゃなくても夢乃くんと本当の恋がしたいと思ったんです……!」

恥ずかしいところも見せたくないところも夢乃くんになら全部見せてもいいと思えた。


私は地味で眼鏡でゲームしか趣味のないつまらない女だけど、これが私だから。

嘘のない私だから、

彩芽ちゃんにも見てほしかった。
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