夢乃くんにご注意ください
「ま、待ってください」
「ダメ」
「キスなら前にしたじゃないですか」
「あんなのしたことにならないよ」
そう言って夢乃くんは綺麗な指で私の唇をなぞる。
「キスはもっと甘くて、気持ちいいものだよ」
夢乃くんの重さが心地いいものに変わって、身体の熱さでおかしくなったのかもう抵抗することも忘れていた。
「瑠花、目つぶって」
その言葉に私はそっと目を閉じる。
破裂しそうなぐらいの心臓の音と、夢乃くんの顔が近づいてくる気配。
夢乃くんの手が私の頬に添えられてクイッと顎をあげられた。そして……。
――ピンポーン。
リビングに響くインターホンの音。
「ゆ、夢乃くん誰か来ましたよ」
「べつにいい」
――ピンポーン、ピンポーン。
「やっぱり出たほうが……」
「こっちのほうが大事だから」
――ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン。
「あー、もう!!」
夢乃くんが珍しくイラついた様子でインターホンのボタンを押す。画面に映っていたのは……。