夢乃くんにご注意ください


呼ばれるたびに心臓が跳ねる。

恋愛初心者をなめないでほしい。


「なんで?一応彼氏だし、そっちのほうが自然でしょ」

「で、でも……」

「それにゲームの人もそうやって呼んでた」

「右京さまですか?」

「名前は知らないけど」


たしか右京さまからの恥ずかしいセリフを夢乃くんに聞かれてしまったんだっけ。


「ちょっとどんなゲームか見せてみて」

何故か話は急展開して、夢乃くんに右京さまを紹介することに。


好きなゲーム(右京さまの魅力)を語れるなんて最高のプレゼンチャンス!

私はすぐにアプリを開いて饒舌に話し始めた。


「このゲームのポイントはなんと言っても時系列が現実と同じところです!なので朝はおはよう、夜はおやすみと寝る直前まで右京さまと会話ができます。それから私の性格や好みの食べ物を最初に入力するんですけど、なんと右京さまが私の好きな話題や食べ物の話をしてくれたりするんです!本当にゲームっていうか、ゲームを通り越して実際にいるような感覚がするんですよね!あとは右京さまが……」


……しまった。夢乃くんが引いている、かもしれない。

ちょっと興奮しすぎて自分のキャラを見失ってしまった。

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