不器用王子の甘い誘惑
7.王子様は片思い
「松田さんはどれにしますか?」
振り向くとすぐ後ろにいた松田さんが私に覆い被さるようにガラスに腕をついていて、それがまた背が高くてイケメンなのが功を奏しているというか……ものすごく様になっている。
イケメンぶりを見せつけられているみたいでなんだか嫌になる。
しかも近い距離に無駄にドキドキするし。
「紅茶の微糖?
微糖でも割と甘いよね?」
さりげなく腰を折った松田さんの顔が至近距離に来て、思わず後退った。
うぅ。よく分からない敗北感。
紅茶の微糖、好きなの。放っておいて。
松田さんはコーヒーの無糖を手にした。
カッコつけてるわけじゃないとは思うけど、ブラック……ね。
しかも手に取ったのは男前な人が飲む飲み物みたいなCMしてるやつ!
どれだけ自分に自信ありありなのよと勝手な想像をして、ある種の尊敬の眼差しを送っておいた。
コンビニを出ると火照った体に心地よい風が吹いていた。
松田さんはコンビニを出るとすぐにプシュという音をさせて、缶に口をつけた。
コーヒーのプルタブを開ける所作までもスマートに見える。
片手で飲む姿はものすごく絵になって、道行く人が振り返って………。
……ううん。普通は片手で飲むもの!
なんだか松田さんが凄くて普通のことが普通に見えない。
「ハハッ。酔ってるの?開けれない?」
何も自己申告をしていないのに、こっそり蓋と格闘していたペットボトルを奪われた。
「開けられます!返してください!」
紗良の返答にまた笑った松田さんは紗良へコーヒーの方を渡した。
ペットボトルは軽々と開けられて紗良の手の中の缶と交換される。
からかいの言葉と共に。
「開けられないなんて可愛いね。」
笑顔で言ってくる松田さんに顔を赤くなんてするもんか。
「違います。酔ってるだけです。」
「うん。だから酔ってて開けられないんでしょ?」
「ちがっ。開けられるのに取られたんです!」
またハハッと笑った松田さんは人差し指を軽く上げてコーヒーを飲んでいる。
それが小指とかなら笑ってやれるのに……悔しいほどにかっこよかった。
「ほら。ここの道、石畳風がオシャレだけど、つまずきやすいから気をつけて。」
さりげない気遣いにも嫌味がない。
さすがにからかいの言葉には……嫌味なんてないか。
「ねぇ。それって美味しいの?」
指されたのは紅茶の微糖。
そんなに微糖が嫌なのか……。
「私は美味しいんです。
人の好みはそれぞれですよ。」
「じゃちょっとちょうだい。」
え、と思う間もなく奪われたペットボトル。
普通に飲まれて、キャー!!!と心の中で叫んだ。
飲み会でもさ。
ちょっとちょうだいが苦手なのに……。
「甘っ。やっぱり甘いよ。」
普通に返却されたペットボトル。
返されないのも困るけど……。
この後、飲まないのって感じ悪いかな。
間接キスとか思っちゃうのは子供っぽいんだろうなぁ。
なんとも思わないからこそ、さらっとできるんだよね。天界人だからね。
紗良の心の声が聞こえるわけもなく、この流れには続きがあった。
「俺のブラック飲んでみる?」
差し出された缶におののいて「ブラック苦手なんです」とお断りした。
「美味しいのに。」
松田さんは自然体で言っているんだろうけど、王子様の飲んだコーヒーを飲ませてもらったなんてバレたら………。
まざまざと見せつけられる松田さんは全てにおいて私とは別世界の人。
やっぱり松田さんってさ。
振り向くとすぐ後ろにいた松田さんが私に覆い被さるようにガラスに腕をついていて、それがまた背が高くてイケメンなのが功を奏しているというか……ものすごく様になっている。
イケメンぶりを見せつけられているみたいでなんだか嫌になる。
しかも近い距離に無駄にドキドキするし。
「紅茶の微糖?
微糖でも割と甘いよね?」
さりげなく腰を折った松田さんの顔が至近距離に来て、思わず後退った。
うぅ。よく分からない敗北感。
紅茶の微糖、好きなの。放っておいて。
松田さんはコーヒーの無糖を手にした。
カッコつけてるわけじゃないとは思うけど、ブラック……ね。
しかも手に取ったのは男前な人が飲む飲み物みたいなCMしてるやつ!
どれだけ自分に自信ありありなのよと勝手な想像をして、ある種の尊敬の眼差しを送っておいた。
コンビニを出ると火照った体に心地よい風が吹いていた。
松田さんはコンビニを出るとすぐにプシュという音をさせて、缶に口をつけた。
コーヒーのプルタブを開ける所作までもスマートに見える。
片手で飲む姿はものすごく絵になって、道行く人が振り返って………。
……ううん。普通は片手で飲むもの!
なんだか松田さんが凄くて普通のことが普通に見えない。
「ハハッ。酔ってるの?開けれない?」
何も自己申告をしていないのに、こっそり蓋と格闘していたペットボトルを奪われた。
「開けられます!返してください!」
紗良の返答にまた笑った松田さんは紗良へコーヒーの方を渡した。
ペットボトルは軽々と開けられて紗良の手の中の缶と交換される。
からかいの言葉と共に。
「開けられないなんて可愛いね。」
笑顔で言ってくる松田さんに顔を赤くなんてするもんか。
「違います。酔ってるだけです。」
「うん。だから酔ってて開けられないんでしょ?」
「ちがっ。開けられるのに取られたんです!」
またハハッと笑った松田さんは人差し指を軽く上げてコーヒーを飲んでいる。
それが小指とかなら笑ってやれるのに……悔しいほどにかっこよかった。
「ほら。ここの道、石畳風がオシャレだけど、つまずきやすいから気をつけて。」
さりげない気遣いにも嫌味がない。
さすがにからかいの言葉には……嫌味なんてないか。
「ねぇ。それって美味しいの?」
指されたのは紅茶の微糖。
そんなに微糖が嫌なのか……。
「私は美味しいんです。
人の好みはそれぞれですよ。」
「じゃちょっとちょうだい。」
え、と思う間もなく奪われたペットボトル。
普通に飲まれて、キャー!!!と心の中で叫んだ。
飲み会でもさ。
ちょっとちょうだいが苦手なのに……。
「甘っ。やっぱり甘いよ。」
普通に返却されたペットボトル。
返されないのも困るけど……。
この後、飲まないのって感じ悪いかな。
間接キスとか思っちゃうのは子供っぽいんだろうなぁ。
なんとも思わないからこそ、さらっとできるんだよね。天界人だからね。
紗良の心の声が聞こえるわけもなく、この流れには続きがあった。
「俺のブラック飲んでみる?」
差し出された缶におののいて「ブラック苦手なんです」とお断りした。
「美味しいのに。」
松田さんは自然体で言っているんだろうけど、王子様の飲んだコーヒーを飲ませてもらったなんてバレたら………。
まざまざと見せつけられる松田さんは全てにおいて私とは別世界の人。
やっぱり松田さんってさ。