不器用王子の甘い誘惑
21.軋む胸の痛み
無言で手を引いて歩く松田さんが怖い。
綺麗な顔立ちが黙っているとこんなにも怖いんだと思い知る。
……ううん。そんなことない。
松田さんとは特に歩いている時は黙ってしまうことの方が多くて、それなのに一緒にいる時間は心地よくて………。
連れて来られたのは駐車場。
前に見た高級そうな車があった。
松田さんの操作でハザードランプが2度ついて、その後に自然な所作でドアを開けてくれた。
断れる雰囲気じゃなくて助手席に座った。
運転席に乗り込んだ松田さんに「シートベルトして」とだけ言われて車は進み始めた。
無言の車は少し怖い運転で、服をギュッと握りしめた。
車は高速に乗ると、遠慮なく加速して紗良の恐怖も何倍にも加速した。
車が停まったのはサービスエリア。
やっと停まったことにホッとしていると、シートベルトを外した松田さんに抱きしめられた。
「ごめん。
イライラしてる時の解消法なんだ。
紗良が怖がってるとは……ううん。気づけなくてごめん。」
言われて指先を見てみるとカタカタ震えていて恥ずかしくなる。
「ちょっとビックリしただけで……。
あれ……ごめんなさい。」
涙がこぼれて、抱きしめている松田さんの服を濡らす。
松田さんにはいつもいつも不細工な泣き顔ばかり見せて………。
スピードが怖かったからって………ううん。色んなことが一気に起きてごちゃ混ぜになって……。
不意に体が離されて、震える指先をつかまれた。
そっと捕まえる指先をそのまま優しく持ち上げられて指先にキスされた。
な、何を………。
天然たらし男だった!忘れてた!!
そう思う松田さんの唇が……震えてる?
え?あれ?私の指先のせい?
驚き過ぎて涙が止まってしまった。
「ハハッ。涙は引っ込んだみたいだね。」
松田さんはゴロンと運転席の方へ戻って顔に腕を当てている。
だから松田さんの表情は見えなくて、震えていたなんて勘違いだよねって思い直した。
だって握った手は離されないんだから。
「綺麗な指だね。ネイルも。」
松田さんに褒められてドキッとする。
そう。これは忘れられない思い出。
「忘れられない人がいるんです。
その人に褒められたから。」
綺麗な顔立ちが黙っているとこんなにも怖いんだと思い知る。
……ううん。そんなことない。
松田さんとは特に歩いている時は黙ってしまうことの方が多くて、それなのに一緒にいる時間は心地よくて………。
連れて来られたのは駐車場。
前に見た高級そうな車があった。
松田さんの操作でハザードランプが2度ついて、その後に自然な所作でドアを開けてくれた。
断れる雰囲気じゃなくて助手席に座った。
運転席に乗り込んだ松田さんに「シートベルトして」とだけ言われて車は進み始めた。
無言の車は少し怖い運転で、服をギュッと握りしめた。
車は高速に乗ると、遠慮なく加速して紗良の恐怖も何倍にも加速した。
車が停まったのはサービスエリア。
やっと停まったことにホッとしていると、シートベルトを外した松田さんに抱きしめられた。
「ごめん。
イライラしてる時の解消法なんだ。
紗良が怖がってるとは……ううん。気づけなくてごめん。」
言われて指先を見てみるとカタカタ震えていて恥ずかしくなる。
「ちょっとビックリしただけで……。
あれ……ごめんなさい。」
涙がこぼれて、抱きしめている松田さんの服を濡らす。
松田さんにはいつもいつも不細工な泣き顔ばかり見せて………。
スピードが怖かったからって………ううん。色んなことが一気に起きてごちゃ混ぜになって……。
不意に体が離されて、震える指先をつかまれた。
そっと捕まえる指先をそのまま優しく持ち上げられて指先にキスされた。
な、何を………。
天然たらし男だった!忘れてた!!
そう思う松田さんの唇が……震えてる?
え?あれ?私の指先のせい?
驚き過ぎて涙が止まってしまった。
「ハハッ。涙は引っ込んだみたいだね。」
松田さんはゴロンと運転席の方へ戻って顔に腕を当てている。
だから松田さんの表情は見えなくて、震えていたなんて勘違いだよねって思い直した。
だって握った手は離されないんだから。
「綺麗な指だね。ネイルも。」
松田さんに褒められてドキッとする。
そう。これは忘れられない思い出。
「忘れられない人がいるんです。
その人に褒められたから。」