不器用王子の甘い誘惑
28.色々な表情
水族館に着くと地図やイベントのお知らせなどパンフレットをもらった。
広い館内と外にも観れるところがあるみたいだ。
「ほら。ふれあいもあるみたいだよ。
ゴマフアザラシの子どもの頭を撫でられるって。
フフッ。このアザラシ……。」
松田さんが笑いながら指したパンフレットのアザラシは目がくりっとした可愛い顔をしていた。
「可愛いですね。癒し系な顔してる。」
「うん。紗良みたい。」
「なっ……私こんなに可愛くありません!」
「え?そっち?
アザラシと一緒にしないで!じゃなくて?」
また笑っている松田さんに紗良はぷりぷりした。
「こんなにウルウルした可愛いおめめのアザラシちゃんですよ!?完敗ですよ。」
「ゴマフアザラシのぬいぐるみって。
可愛い。売ってるんだ。」
「本当だ。可愛い。
家に帰っても癒されそうですね。
ほら。このぬいぐるみ表情が色々で、情ない顔の子も可愛いですね。」
温かい眼差しで見られていることに気づいて、ぬいぐるみではしゃぐなんて大人げなかったかなと反省……できなかった。
松田さんの爆弾発言で。
「それなら俺は紗良を連れて帰りたいな。」
な、何それ?だから自覚なさ過ぎるよ。
そういう事、言われてどうすれば………。
「ほら。今の顔なんて情ないアザラシも顔負けだよ。
紗良1人で全部の表情見れるんじゃない?」
「私は情ないアザラシじゃありません!」
なんだ。ただのからかいか。
そうだとしても松田さんは気をつけないと、誰しもが私みたいじゃないからね!普通なら勘違いしちゃうよ!
「ねぇ。俺だけじゃ悪いし、紗良も練習しようよ。」
突然……でもないか。
何度かそんなようなこと言われてる。
「私がまた王子様を信じられるように……ですか?」
「そう。」
どんな練習よ。
そんなこと……そんなことしたら、その練習が成功した暁には目の前の王子様に恋に落ちてるでしょ。
「その方が楽しめるよ。
ほら。アザラシのふれあいの時間、もうすぐだ。」
当たり前みたいに手を取られ、隣を歩く松田さんはたまに私の方を見て、柔らかく微笑む。
それが本当に愛おしいものを見て微笑んでいるみたいに感じて勘違いしそうになる。
私を通して別の人を見てるって思うと落ち込みそうで、それは見ないようにした。
「良かったね。
ふれあいの時間に間に合って。」
親子連れとカップルも数名が並んでいて、その後ろに並んだ。
何組も並んでいるカップル。
いつもならカップルが仲よさそうなのを見て羨ましかった。
今は、他を見る余裕がない。
繋がれた手はたまににぎにぎされて、松田さんを見上げると微笑んでいる。
それが優しくて柔らかい微笑みですっごく照れてしまう。
なのに何回も。お互いに何も言わずに。
なんの時間?恥ずかしい。
「もう少し詰めてお並びくださーい。」
係りの人が最後尾の看板を持って整備している。
不意に手が離されたと思ったら、腰に手を回されて、きゃー!と叫びようになっていると、松田さんの方に寄せられて失神してもおかしくないと思う。
抱きしめられるのとまたなんか違う!!
「すみません。ありがとうございます。」
声をかけられて判明した。
通る人の邪魔になっていたのだ。
松田さんの行動のお陰で通れた人がお礼を行って通っていった。
さすがにすぐに腰から離された手はまた繋がれるかと思っていたら、その手は松田さんの口元を覆った。
「紗良って……女の子だね。」
驚いたような声を出す松田さんに憤慨した気持ちだ。
何?今まで男の子だとでも思ってたの?
広い館内と外にも観れるところがあるみたいだ。
「ほら。ふれあいもあるみたいだよ。
ゴマフアザラシの子どもの頭を撫でられるって。
フフッ。このアザラシ……。」
松田さんが笑いながら指したパンフレットのアザラシは目がくりっとした可愛い顔をしていた。
「可愛いですね。癒し系な顔してる。」
「うん。紗良みたい。」
「なっ……私こんなに可愛くありません!」
「え?そっち?
アザラシと一緒にしないで!じゃなくて?」
また笑っている松田さんに紗良はぷりぷりした。
「こんなにウルウルした可愛いおめめのアザラシちゃんですよ!?完敗ですよ。」
「ゴマフアザラシのぬいぐるみって。
可愛い。売ってるんだ。」
「本当だ。可愛い。
家に帰っても癒されそうですね。
ほら。このぬいぐるみ表情が色々で、情ない顔の子も可愛いですね。」
温かい眼差しで見られていることに気づいて、ぬいぐるみではしゃぐなんて大人げなかったかなと反省……できなかった。
松田さんの爆弾発言で。
「それなら俺は紗良を連れて帰りたいな。」
な、何それ?だから自覚なさ過ぎるよ。
そういう事、言われてどうすれば………。
「ほら。今の顔なんて情ないアザラシも顔負けだよ。
紗良1人で全部の表情見れるんじゃない?」
「私は情ないアザラシじゃありません!」
なんだ。ただのからかいか。
そうだとしても松田さんは気をつけないと、誰しもが私みたいじゃないからね!普通なら勘違いしちゃうよ!
「ねぇ。俺だけじゃ悪いし、紗良も練習しようよ。」
突然……でもないか。
何度かそんなようなこと言われてる。
「私がまた王子様を信じられるように……ですか?」
「そう。」
どんな練習よ。
そんなこと……そんなことしたら、その練習が成功した暁には目の前の王子様に恋に落ちてるでしょ。
「その方が楽しめるよ。
ほら。アザラシのふれあいの時間、もうすぐだ。」
当たり前みたいに手を取られ、隣を歩く松田さんはたまに私の方を見て、柔らかく微笑む。
それが本当に愛おしいものを見て微笑んでいるみたいに感じて勘違いしそうになる。
私を通して別の人を見てるって思うと落ち込みそうで、それは見ないようにした。
「良かったね。
ふれあいの時間に間に合って。」
親子連れとカップルも数名が並んでいて、その後ろに並んだ。
何組も並んでいるカップル。
いつもならカップルが仲よさそうなのを見て羨ましかった。
今は、他を見る余裕がない。
繋がれた手はたまににぎにぎされて、松田さんを見上げると微笑んでいる。
それが優しくて柔らかい微笑みですっごく照れてしまう。
なのに何回も。お互いに何も言わずに。
なんの時間?恥ずかしい。
「もう少し詰めてお並びくださーい。」
係りの人が最後尾の看板を持って整備している。
不意に手が離されたと思ったら、腰に手を回されて、きゃー!と叫びようになっていると、松田さんの方に寄せられて失神してもおかしくないと思う。
抱きしめられるのとまたなんか違う!!
「すみません。ありがとうございます。」
声をかけられて判明した。
通る人の邪魔になっていたのだ。
松田さんの行動のお陰で通れた人がお礼を行って通っていった。
さすがにすぐに腰から離された手はまた繋がれるかと思っていたら、その手は松田さんの口元を覆った。
「紗良って……女の子だね。」
驚いたような声を出す松田さんに憤慨した気持ちだ。
何?今まで男の子だとでも思ってたの?