不器用王子の甘い誘惑
私はいいからと言う紗良に心は沈んでいく。
お願いだから俺と居たいって素振りだけでもしてくれよ。
麗華と一緒に行けばいいとか言わないで。
紗良のアパートに着くと紗良を降ろして、その腕の中に水族館で買ったぬいぐるみを渡した。
「え……。これ松田さん用なんじゃ?」
「ううん。早く帰ることになったお詫び。
俺だと思って大事にして。」
「ふふっ。ありがとうございます。
大事にします。」
渡したぬいぐるみを袋ごと抱きしめる紗良を抱きしめたかった。
「じゃごめんね。
俺…必ず紗良と水族館また行きたいから。
今度も付き合って。」
「………はい。」
車に乗り込むと今日だけは紗良に見送って欲しくて、思っていた通り見送ってくれる紗良をバックミラー越しに確認して車を出した。
俺の為のぬいぐるみなんてない。
このまま紗良をマンションに連れ帰って俺の帰りを待っていて欲しい。
それで一緒にDVDを見るんだ。
最初はコメディタッチの実は感動モノの映画を見てさ。
泣いちゃったじゃないですか!って怒る紗良を抱きしめたい。
そんな時間に帰ってこれないだろう。
ずっと待たせるなんて、ただの我儘だ。
駐車場に車を停めて、目を閉じた。
現実に戻ると仕事モードに切り替えて車を降りる。
俺は紗良の王子様になれるように頑張るよ。
だから俺のことアザラシのぬいぐるみを見かける回数だけでもいいから思いを寄せて。
紗良に会いたいと思えば思うほど仕事が忙しくて席にも戻れなかった。
度々アザラシと微笑んだ紗良の写真を眺めては癒されていた。
ただ2人で写る2枚目の写真は胸が痛くなりそうで見ることが出来なかった。
早く仕事を終えたくて、こんなに心が焦るのは初めてだった。
だからって無茶し過ぎたみたいだ。
気づいたら辺りが歪んでいて、立ち上がったと同時にまた椅子に逆戻りした。
体がものすごく熱くて、久しぶりにやっちゃったなと反省の気持ちを残して、あとはよく覚えていない。
いい夢だなぁと思う。頑張った甲斐がある。
だって紗良が側にいる。
俺のベッドにもたれかかって眠る紗良の髪に手を入れて、何度か撫でる。
柔らかい髪まで癒されるって紗良をどれだけ俺は………。
「起きました?
あの……勝手に入ってすみません。」
「え……本物の紗良?」
「ふふっ。偽物がいるんですか?」
「あ、いや………。」
まだ夢の続きなのか。
熱で頭がぼーっとしている。
「まだつらいですか?熱が高いみたいで…。」
「部屋、忙しくて散らかってるよね。
下着とかは脱ぎ散らかしてはないと思うけど……。」
こんな部屋に入れるなんて。
もっと掃除して「素敵な部屋ですね」って紗良に言われるように……。
「大丈夫です。下着はありませんでした。
素敵な部屋ですね。
忙しいそうでしたから家のことできないのは仕方ないですよ。」
やっぱり夢かな。
紗良といるとあまりにも思った通りにならない自分が不甲斐なくて。
だから都合のいい夢を見てるのかな。
「ねぇ。練習……してくれる?」
「こんな時に?」
呆れる紗良に言葉を重ねた。
「こんな時だからこそ。」
「どんな練習ですか?
爽ちゃん。早く元気になって。ですか?」
おでこに紗良の冷たい手が触れて気持ちいい。
その手をつかんでうわごとのように呟く。
「風邪、うつしてもいい?」
「う、うつすって。
うつすと早く治るとは言いますけど。」
「うつしてもいいよ。キスして。って言ってくれるだけで治りそうだよ。」
「もう!松田さんはセクハラ大王ですか?」
「違うよ。爽助………。」
お願いだから俺と居たいって素振りだけでもしてくれよ。
麗華と一緒に行けばいいとか言わないで。
紗良のアパートに着くと紗良を降ろして、その腕の中に水族館で買ったぬいぐるみを渡した。
「え……。これ松田さん用なんじゃ?」
「ううん。早く帰ることになったお詫び。
俺だと思って大事にして。」
「ふふっ。ありがとうございます。
大事にします。」
渡したぬいぐるみを袋ごと抱きしめる紗良を抱きしめたかった。
「じゃごめんね。
俺…必ず紗良と水族館また行きたいから。
今度も付き合って。」
「………はい。」
車に乗り込むと今日だけは紗良に見送って欲しくて、思っていた通り見送ってくれる紗良をバックミラー越しに確認して車を出した。
俺の為のぬいぐるみなんてない。
このまま紗良をマンションに連れ帰って俺の帰りを待っていて欲しい。
それで一緒にDVDを見るんだ。
最初はコメディタッチの実は感動モノの映画を見てさ。
泣いちゃったじゃないですか!って怒る紗良を抱きしめたい。
そんな時間に帰ってこれないだろう。
ずっと待たせるなんて、ただの我儘だ。
駐車場に車を停めて、目を閉じた。
現実に戻ると仕事モードに切り替えて車を降りる。
俺は紗良の王子様になれるように頑張るよ。
だから俺のことアザラシのぬいぐるみを見かける回数だけでもいいから思いを寄せて。
紗良に会いたいと思えば思うほど仕事が忙しくて席にも戻れなかった。
度々アザラシと微笑んだ紗良の写真を眺めては癒されていた。
ただ2人で写る2枚目の写真は胸が痛くなりそうで見ることが出来なかった。
早く仕事を終えたくて、こんなに心が焦るのは初めてだった。
だからって無茶し過ぎたみたいだ。
気づいたら辺りが歪んでいて、立ち上がったと同時にまた椅子に逆戻りした。
体がものすごく熱くて、久しぶりにやっちゃったなと反省の気持ちを残して、あとはよく覚えていない。
いい夢だなぁと思う。頑張った甲斐がある。
だって紗良が側にいる。
俺のベッドにもたれかかって眠る紗良の髪に手を入れて、何度か撫でる。
柔らかい髪まで癒されるって紗良をどれだけ俺は………。
「起きました?
あの……勝手に入ってすみません。」
「え……本物の紗良?」
「ふふっ。偽物がいるんですか?」
「あ、いや………。」
まだ夢の続きなのか。
熱で頭がぼーっとしている。
「まだつらいですか?熱が高いみたいで…。」
「部屋、忙しくて散らかってるよね。
下着とかは脱ぎ散らかしてはないと思うけど……。」
こんな部屋に入れるなんて。
もっと掃除して「素敵な部屋ですね」って紗良に言われるように……。
「大丈夫です。下着はありませんでした。
素敵な部屋ですね。
忙しいそうでしたから家のことできないのは仕方ないですよ。」
やっぱり夢かな。
紗良といるとあまりにも思った通りにならない自分が不甲斐なくて。
だから都合のいい夢を見てるのかな。
「ねぇ。練習……してくれる?」
「こんな時に?」
呆れる紗良に言葉を重ねた。
「こんな時だからこそ。」
「どんな練習ですか?
爽ちゃん。早く元気になって。ですか?」
おでこに紗良の冷たい手が触れて気持ちいい。
その手をつかんでうわごとのように呟く。
「風邪、うつしてもいい?」
「う、うつすって。
うつすと早く治るとは言いますけど。」
「うつしてもいいよ。キスして。って言ってくれるだけで治りそうだよ。」
「もう!松田さんはセクハラ大王ですか?」
「違うよ。爽助………。」