不器用王子の甘い誘惑
食べ終わるともう1つだけ付き合ってと、今度は車に乗せた。
今日は邪魔が入らないように紗良に気づかれないように携帯の電源をオフにした。
日が落ちるのが早くなってきて、まだ6時くらいなのに辺りは暗かった。
仕事ばかりの1ヶ月が過ぎるうちにすごく寒くなっていて、装いもずいぶん変わっていた。
紗良を助手席に乗せた会話も久しぶりだった。
「紗良の冬の服装もいいね。
もう1ヶ月も会ってなかったなんて、練習さぼり過ぎたよな。」
「松田さんもセーターとか着るんですね。
好青年って感じで素敵です。」
紗良に褒められて気持ちは上向いていく。
「俺のゴマフアザラシは元気?」
俺のこと忘れずにいてくれたのかな。
忘れずにいてくれたから看病しに来てくれたんだよな?
それなのに紗良の声は沈んでいく。
「えぇ。あの……松田さん?
松田さんは麗華さんと婚約させてるんですよね?」
な……なんで………。
平常心を保つように心がけて、かろうじて質問をした。
「どうして?」
「会社ではその噂で持ちきりですよ。
松田さんの想い人も麗華さんですよね?
だから、私はもう………。」
「ちょっと待って。
ごめん。後でちゃんと話すから今はその話、一旦なしにしてくれないかな。」
だから、私はもう……ってなんだよ。
紗良とのドライブは楽しいけれど動揺させられることも多くて、今回はこんなことを言われるとは思っていなかった。
目的地に着くと紗良が嬉しそうな声をあげて、こちらも嬉しくなる。
「わぁ。綺麗ですね。」
車からも見下ろせる街並みがゆらゆらと輝いている。
着くまでは夜景が見えるとは思えない所なのに、ここの場所だけは綺麗に見えた。
だから着いた時の驚きがあって、紗良に見せたかった。
「降りてみても?………松田さん?」
俺は紗良の手をつかんで、口を開いた。
ずっとずっと伝えたくて、なのになかなか言い出せなかった言葉。
だけどそれは飲み込んで別の言葉を口にした。
「俺に婚約者はいないよ。
だから1つ協力して欲しいんだ。
麗華のキューピッドって言うのかな。」
「麗華さんの?」
「あぁ。2人とも意地っ張りでさ。」
「もしかしてそれって………。」
今日は邪魔が入らないように紗良に気づかれないように携帯の電源をオフにした。
日が落ちるのが早くなってきて、まだ6時くらいなのに辺りは暗かった。
仕事ばかりの1ヶ月が過ぎるうちにすごく寒くなっていて、装いもずいぶん変わっていた。
紗良を助手席に乗せた会話も久しぶりだった。
「紗良の冬の服装もいいね。
もう1ヶ月も会ってなかったなんて、練習さぼり過ぎたよな。」
「松田さんもセーターとか着るんですね。
好青年って感じで素敵です。」
紗良に褒められて気持ちは上向いていく。
「俺のゴマフアザラシは元気?」
俺のこと忘れずにいてくれたのかな。
忘れずにいてくれたから看病しに来てくれたんだよな?
それなのに紗良の声は沈んでいく。
「えぇ。あの……松田さん?
松田さんは麗華さんと婚約させてるんですよね?」
な……なんで………。
平常心を保つように心がけて、かろうじて質問をした。
「どうして?」
「会社ではその噂で持ちきりですよ。
松田さんの想い人も麗華さんですよね?
だから、私はもう………。」
「ちょっと待って。
ごめん。後でちゃんと話すから今はその話、一旦なしにしてくれないかな。」
だから、私はもう……ってなんだよ。
紗良とのドライブは楽しいけれど動揺させられることも多くて、今回はこんなことを言われるとは思っていなかった。
目的地に着くと紗良が嬉しそうな声をあげて、こちらも嬉しくなる。
「わぁ。綺麗ですね。」
車からも見下ろせる街並みがゆらゆらと輝いている。
着くまでは夜景が見えるとは思えない所なのに、ここの場所だけは綺麗に見えた。
だから着いた時の驚きがあって、紗良に見せたかった。
「降りてみても?………松田さん?」
俺は紗良の手をつかんで、口を開いた。
ずっとずっと伝えたくて、なのになかなか言い出せなかった言葉。
だけどそれは飲み込んで別の言葉を口にした。
「俺に婚約者はいないよ。
だから1つ協力して欲しいんだ。
麗華のキューピッドって言うのかな。」
「麗華さんの?」
「あぁ。2人とも意地っ張りでさ。」
「もしかしてそれって………。」