不器用王子の甘い誘惑
44.やっぱり敵わない
年末のお休みになる前から松田さんはスリーピングの方に行ったっきりで、ほぼ向こうに戻ってしまった。
そんな松田さんに別の噂が持ち上がっていた。
「麗華様は別の御曹司と婚約したらしいよ。」
「だったら傷心の王子様に付け入るチャンスじゃない!」
御曹司とはつまり亘さんで、亘さんまで別世界の人だったことを知った時は本当にショックだった。
世界的に有名な老舗家具メーカーのお坊ちゃんで、そもそも私が松田さんと子どもの頃に出会った『知り合いの別荘』の知り合いは亘さんのお家だったのだ。
小さい頃からの幼馴染なんだから、周りは似たような人達に決まってるよね。と、後から思ってみてもショックはおさまらなかった。
「王子様のお相手がこんなところにいるとは誰も思わないだろうね。」
「未智!」
「だって面白くて。」
私だって信じられないよ。
だけど亘さんも、もちろん松田さんも「親が社長なだけで、俺が偉いわけじゃない」って言う。
「松田さんは私と同じ匂いを感じるから、しっかりつかんでおかないと。」
「えぇ〜。未智が言うと本当の気がして不安になるよ。」
未智はどんな男も虜にして、彼がいないことがなくて………。
「別れなきゃいいんだよ。
私だって、この人!って思える人に出会えたら別れたりしないし。」
「ますます不安………。」
「まぁまぁ。明日は紗良のおばあちゃんに会いに行くんでしょ?
一緒に行くって言うんだから将来もちゃんと考えてそう。」
「そうなのかなぁ。変なこと言わないでよ。
余計に緊張するから。」
おばあちゃんにずっと会ってないという私に松田さんが本当に会うかどうかついていくっていうことから一緒に会うことになったわけで……。
紗良のおばあちゃんがどんな人か会ってみたいとも言われたけど………。
瑞稀は瑞稀で「紗良は男の人の庇護欲をくすぐるからね」って言われた。
意味がわからなくて松田さんに聞いたのが間違いだったんだけど。
「庇護欲ね……。最初は俺もそう思ったけど、紗良は俺の庇護なんていらないって言いそうだね。」
「余計に分からないよ。」
「俺は紗良から抜け出せないってこと。」
なんだか誤魔化された気がする。
質問の話は切り上げられちゃったし。
「おばあちゃんに印象良くするためには何を着ていこう?」
「松田さんなら何着ても平気です。」
フフッって笑われて抱きしめられるから嫌になっちゃう。
誰が抜け出せないって?
松田さんじゃないでしょ。
私のことでしょ?
「紗良?拗ねてるの?」
「拗ねてないです。」
そんな松田さんに別の噂が持ち上がっていた。
「麗華様は別の御曹司と婚約したらしいよ。」
「だったら傷心の王子様に付け入るチャンスじゃない!」
御曹司とはつまり亘さんで、亘さんまで別世界の人だったことを知った時は本当にショックだった。
世界的に有名な老舗家具メーカーのお坊ちゃんで、そもそも私が松田さんと子どもの頃に出会った『知り合いの別荘』の知り合いは亘さんのお家だったのだ。
小さい頃からの幼馴染なんだから、周りは似たような人達に決まってるよね。と、後から思ってみてもショックはおさまらなかった。
「王子様のお相手がこんなところにいるとは誰も思わないだろうね。」
「未智!」
「だって面白くて。」
私だって信じられないよ。
だけど亘さんも、もちろん松田さんも「親が社長なだけで、俺が偉いわけじゃない」って言う。
「松田さんは私と同じ匂いを感じるから、しっかりつかんでおかないと。」
「えぇ〜。未智が言うと本当の気がして不安になるよ。」
未智はどんな男も虜にして、彼がいないことがなくて………。
「別れなきゃいいんだよ。
私だって、この人!って思える人に出会えたら別れたりしないし。」
「ますます不安………。」
「まぁまぁ。明日は紗良のおばあちゃんに会いに行くんでしょ?
一緒に行くって言うんだから将来もちゃんと考えてそう。」
「そうなのかなぁ。変なこと言わないでよ。
余計に緊張するから。」
おばあちゃんにずっと会ってないという私に松田さんが本当に会うかどうかついていくっていうことから一緒に会うことになったわけで……。
紗良のおばあちゃんがどんな人か会ってみたいとも言われたけど………。
瑞稀は瑞稀で「紗良は男の人の庇護欲をくすぐるからね」って言われた。
意味がわからなくて松田さんに聞いたのが間違いだったんだけど。
「庇護欲ね……。最初は俺もそう思ったけど、紗良は俺の庇護なんていらないって言いそうだね。」
「余計に分からないよ。」
「俺は紗良から抜け出せないってこと。」
なんだか誤魔化された気がする。
質問の話は切り上げられちゃったし。
「おばあちゃんに印象良くするためには何を着ていこう?」
「松田さんなら何着ても平気です。」
フフッって笑われて抱きしめられるから嫌になっちゃう。
誰が抜け出せないって?
松田さんじゃないでしょ。
私のことでしょ?
「紗良?拗ねてるの?」
「拗ねてないです。」