俺の大好きなヒトの話をしよう
「ごめんね。なるべく早く帰ってくるから」

「…うん」



じゃあ、行ってきます。と手を振る彼女に手を振り返す。


彼女の姿が見えなくなるまでは俺は彼女の理想の弟で居なくちゃならない。



数メートル歩いたところで彼女が曲がり角を左に曲がって見えなくなった。そこで振っていた手も笑顔もピタッと止めると、少し上のあたりから煩いくらいの視線を感じてそれを睨みつけた。



「毎回思うけどお前のその変わりみスゲーな。引くわ」

「言ってろ。べつにお前に引かれようがどうでもいい」
< 6 / 8 >

この作品をシェア

pagetop